2017年6月30日金曜日

契約書チェックのコツは、変更してそうなところを探ること

契約書チェックのコツの話をします。

実は、多くの契約書には、「元ネタ」があります。

それは、ひな形であったり、さまざまです。

そして、契約書チェックで多くの弁護士がしているところは、その元ネタと違う部分を探すことなのです。


ひな形のままであれば、全体の雰囲気が統一されているのですが、多くの場合、それをいじるわけなので、独特の表現や、取引に合致しない話など、さまざまな支障が生じています。

弁護士の契約書チェックも、実は、この違和感に気づき、重点的にチェックすることが大切だと思っています。

弁護士 杉浦智彦

2017年6月29日木曜日

クラウドファンディング運営会社が破産するとどうなるのか

先日のクラウドファンディングの記事のつづきです(すこし間が空きました)


クラウドファンディングは、投資型の規制を逃れるために、「購入型」という、売買の先払いを応用したスキームが開発されました。

購入型の運営会社が破産した場合、非常に悩ましい問題があります。

金融商品取引業の規制があれば、預かったお金の分別管理などが要請されますが、それを逃れているわけですから、分別管理なんかしていないわけです。

そのため、運営会社が破産したら、その損失を、投資家と、お金を集めようとしている企業とで、押し付け合うことになります。

ただ、売買の原則で考えた時、解除をして、売り主である企業に先払いした代金を払うよう求められるのか、
それとも、まだ受け取っていないから、企業は返済しなくてもよいのか。

さらに、実際のところは投資なので、投資家がそのリスクを負うべきなのかなど・・・。

リスクの分配は非常に難しいといえます。

規制逃れのため、いろんなスキームが開発されますが、どこかで支障が生じることがおおいのも事実なのでしょう。

弁護士 杉浦智彦

2017年6月28日水曜日

契約書の押印をPDF上でやってもよいのか

契約書の押印をPDF上でやることも多くなってきました。

私も、Acrobatのスタンプシステムで、職印データをつかって、スタンプを押すことも多くなってきました。

ところで、とくに海外など遠方の取引の契約のとき、契約書締結の方法として、スキャンデータのやり取りが増えてきました。

その中で、電子上で押印することも有効なのかという話をいたします。

実は、押印がなくても契約は有効に成立します。

あくまで押印は、「権限ある人が内容を読んで押したんだ」ということを証明するために要求されているにすぎないのです。



その点では、PDF上で、データで押印したかのように見せるのも、法律的には問題がないのです。

ただ、本当にその権限がある人が押印したか分からないわけですから、これまで取引をしたことがない人との取引だったり、ロットが大きい取引の場合は、避けるのも一つのリスク判断なのかもしれません。

弁護士 杉浦智彦

2017年6月27日火曜日

アイドルに恋愛禁止させることにも、意味はあるのでしょうか。

タイトルの「意味はあるのです」というのは、最近、デイリーポータルZのYoutubeで配信されている、ブッダ物語のパロディです。




AKBグループの須藤凛々花さんという方が、先日のAKB総選挙で結婚宣言をしました。

このとき、多くのファンが「恋愛禁止なんじゃないのか」と煽っていました。

ただ、よく考えてみれば、違反者続出のルールではあったわけです。

峯岸さんの坊主とかも、そうですよね。

このアイドルの「恋愛してはいけない」ルールには、2つの東京地方裁判所の裁判例があります。

一つは、H27.9.18に出されたもの、もう一つがH28.1.18に出されたものです。

一方は、会社側が勝ち、(数十万円レベルですが)、それなりの損害賠償請求が認められました。

もう一つは、アイドル側が勝ち、損害賠償請求は否定されました。

まあ、そんなわけで、実はこのルールが法律上有効なのかについては争いがあるわけです。

でも、このルールは、(仮に法律上有効ではなくても)2つの点で大きな意味があるのです。

一つは、ファンがアイドルに執拗にくっつくことを防止できる機能です。
「私、恋愛禁止されているんです」って言えば、わけわかんない男の要求から逃れることはできますよね。そういう意味では、(経済合理的な)効果があるのです。

もう一つは、アイドル自身に抑止力を与えられることです。
結局、(浮気と同じく)発覚しなければ大丈夫なわけですが、何もルールがないと、自分で写真や動画を撮影するなどのアホなアイドルもいるわけです。
だから、「もしかしたら損害賠償請求されるかもしれないから辞めておこう」と思える抑止力を働かせることができるのです。

全てのことに、意味は、あるのです。


弁護士 杉浦智彦

2017年6月26日月曜日

クラウドファンディングとは何か

さいきん、流行しているクラウドファンディング。

ネコも杓子もクラウドファンディング。

昨年、キングコングの西野さんが、絵本の個展をするための資金調達に使われました。

でも「クラウドファンディング」とはそもそも何なのかわからない人も多いのでは?

今回は、クラウドファンディングの解説をいたします。


クラウドファンディングとは、大衆(Crowd)と資金調達(Funding)を合わせた用語で、大衆からお金を集める手段であれば、なんでもクラウドファンディングと呼んでよいのです。

実はクラウドファンディングには3パターンがあります。

一つ目は、お金を借りたり出資してもらったりする「投資型」
二つ目は、お金を寄付してもらう「寄附型」

しかし、投資型は、株式のようなもののイメージで、金融商品取引法という法律の規制対象となる関係で、運営会社がほとんどありません。

ただ、ビジネスとして、寄附でお金を集めるのは難しいという人たちのため、第三類型となる「購入型」という方法が編み出されました。

購入型というのは、要するに、購入代金の先払いでお金を集める方法です。

物を完成させるための資金をあつめるため、先に完成したことでできる商品・サービスを販売するのです。それで先払いをしてもらって、一定額あつまったら、製品・サービスを作り上げ、それで交付していくのです。

この方法が一般的に取り上げられ、アメリカでも日本でも、クラウドファンディングの運営会社のほとんどはこの「購入型」というシステムを採用しているわけです。

ただ、投資型の「抜け穴」としてこの購入型が生み出されたという背景があるからこそ、近年、さまざまな問題が発生しつつあります。

次回につづきます。

弁護士 杉浦智彦

2017年6月25日日曜日

事業を引き継ぐ場合は必ず契約書を

最近、事業承継もよくやるようになりました。

事業承継で思うのは、個人事業主の事業承継が難しいということです。


よく、飲食店であるのですが、ある場所で、うまいこと販売できている企業があって、それをやってみたいという形で、後継者が現れるようなことがあります。

これ、本当に揉めます。

そもそも、個人事業主が売上を上げている理由は、商品もさることながら、その事業主の魅力みたいな部分が大きかったりします。

そのため、商品の作り方だけを伝えても不十分なのです。

きちんとこのひとが後継者だと、先代経営者も伝え、最低半年は一緒に事業を行い、お客様に「あ、この人が後継者なんだ」と思ってもらうようにしなければなりません。

ただでさえ、売上がおちるので、イライラするわけですが、こういう個人事業主の事業譲渡は、多くの場合、契約書もなく引き渡します。

だから、「教えてくれると言っていたのに、教えてくれない」「これだけ最低売上あがるといっていたのに、売上があがらない」「詐欺だ」などとトラブルになるのです。このトラブルを終わらせることができるのは、事前に作成された契約書だけです。

トラブルにならないためにも、弁護士の指導が必要ですし、
万一トラブルになった場合も、弁護士が関与してあらかじめ契約書をつくっておくことが大切になります。

当方であれば、契約書は数万円で作成・チェックできます。

ぜひご依頼ください。

弁護士 杉浦智彦

契約書チェックのコツは、変更してそうなところを探ること

契約書チェックのコツの話をします。 実は、多くの契約書には、「元ネタ」があります。 それは、ひな形であったり、さまざまです。 そして、契約書チェックで多くの弁護士がしているところは、その元ネタと違う部分を探すことなのです。 ひな形のままであれ...